「函館市史」トップ(総目次)
第3章 戦時体制下の函館
第5節 戦時下の諸相
3 強制連行と捕虜問題
3 中国人の強制連行
戦時体制と労働力
外地労働者移入組合
中国人労働者の処遇案
職業紹介法の制定
閣議決定と試験的移入
函館の事業場
(株)地崎組の中国人使役
(株)地崎組函館出張所の場合
函館華工管理事務所の場合
中国人労働者の生活
中国人の帰還
|
中国人労働者の処遇案 P1254−P1257
なお、この「願書」には、中国人労働者の具体的な移入策を示した次のような文書が付されている。
支那労働者移入ニ関スル方法並ニ処遇方案
一、募集責任者
必要ナル土木業者並ニ鉱山業者ニヨリ土木建築業連合会内ニ外地労働者移入組合ヲ組織シ、此組合ハ労務者供給事業ノ許可ヲ受ケ北海道庁監督ノ下ニ募集シ本道ニ渡来ノ上ハ必要ナル事業者ニ供給ス
二、募集地
青島、済南方面
天津、北京方面
三、就業地及労働ノ範囲
北海道内一般土木建築工事
〃 鉱山採掘運搬ニ関スル業務
四、賃金
労働者ニ直接支払フ可キ賃金
日給金八十銭以上金一円二十銭迄
五、食費補助
一日金三十銭以内
六、監督者及通訳ノ給料
日給最底金三円以上五円迄
(食費組合負担)
七、前渡金
金三十円也前後
(身元確実ナルモノ又ハ家族アルモノ)
八、労働時間
原則トシテ一般ハ十二時間トシ、坑内労働ハ八時間トス
九、契約期間
一ヶ年以上、二ヶ年以内トス
十、旅費
労働日数百八十日以上一ヶ年未満ハ旅費ノ片道ヲ募集者ノ負担トシ一ヶ年以上労働セルモノハ募集者ニ於テ往復旅費ヲ負担ス、但シ団体輸送ヲ原則トスルガ故ニ送還申出ツルモノアルモ多少ノ遅延ハ承諾スベキモノトス
十一、賃金支払方法
毎月貳拾五日締切り、翌月五日払ヒトス
十二、送金並ニ貯金
本国ニ家族アル者ニシテ希望ノ者ハ毎月働高拾分ノ七以内ヲ送金セシム
送金セシ者ハ其残額ヲ送金セサル者ハ毎月拾円以上ヲ強制的ニ貯金セシメ帰国ノ際ニ非サレハ払戻セシメサルモノトス
寄宿舎設備
大正八年五月二十二日北海道庁令第七十九号ニ基ク寄宿舎設備ヲ原則トシ其収容人員並ニ特別ナル設備等ニ就テハ所管轄警察署ノ許可ヲ受ケテ築造シ、通風採光等ニ注意ヲ払フベシ
休日
毎月貳回ノ公休トシ、公休日ノ給料ハ募集者ニ於テ負担ス
傷病者死者ニ対スル手当
貳百名未満収容ノ小屋ハ嘱託医ヲシテ月一回以上ノ健康診断ヲ施シ急応患者其他ノ手当ヲ為ス 貳百名以上ノ場合ハ専属ノ医師又ハ医務員ヲ置キ之ニ充ツ
其他原則トシテ労働者災害扶助法ニ基キ処置ス
(国立国会図書館所蔵GHQ/SCAP文書)
|