通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影 |
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第3章 戦時体制下の函館 函館市立商業学校の設置 |
函館市立商業学校の設置 P1202−P1204 昭和16年3月13日、商業学校規程により実業学校(夜間授業)を設置し、同年4月より開校の件認可した旨、同18日付告示されている(文部省告示第256号)。昭和16年2月26日付の申請(函教第199号)に対する認可であった。函館市長の設置認可申請書は、「本市ニ於ケル高等小学校卒業者ニシテ直チニ社会ノ実務ニ従事スル青年ノタメニ夜間授業ヲナス修業年限四年ノ市立商業学校ヲ設置」「右商業学校ハ青年学校令ニ依ル函館市立商工青年学校商業部ヲ廃シ之ニ代ルベキ教育機関タラシムルモノニ有之」と、青年学校の改組による勤労青年教育機関の設置の企図を明らかにしている。申請書に添付された関係書類の中に含まれている「商業学校設置ノ事由」、「調書」、「学則」などに、設置の背景や学校の内容が明らかにされている。 「商業学校設置ノ事由」は、「寛政八年高田屋嘉兵衛ニヨリ本道ノ関門商港トシテ重キヲナシテ以来安政六年開港トナリ明治四十年以後ハ北洋漁業ノ策源地トシテ殷賑ヲ加ヘ」た函館市の歴史と発展を振り返り、現在の位置について、「今日ニ於テハ人口二十三萬ヲ算スル東北一ノ大商業都市トナレリ。興亜ノ大業遂行ノタメノ生産拡充ハ本道ノ資源開発トナリ、日満支ブロック経済ハ満支市場ヘノ海産物ノ輸出ヲ増大セシメ、又外貨獲得ノタメノ本道ノ関門トシテノ商港函館ノ国策上極メテ重要ノ地タルハ言ヲ俟タザルナリ」と、その重要性に説き及び、さらに商業教育の現況について、「二十三萬ノ都市ニシテ男子中等学校七校ハ他都市ニ比シ遥ニ其ノ校数少ナク教育上遺憾トスルトコロナリ」と、学校の不足を指摘、「尚且ツ昼間中等学校卒業者ノ七割ハ他都市ニ転出スルヲ常トスルヲ以テ中等教育ヲ受ケタル者ノ本市ニ踏ミ止マリテ本市商業ニ従事スル者少ナク」と、商業教育の問題点を指摘し、「為ニ本市ニ永住スル者ノ教育機関ハ本市業者ノタメ又本市発展ノタメ痛切ニ要望セラレツゝアリ」と、永住者の教育を行う学校の設置の必要を述べて、「昼間勤労青年ヲシテ中等学校卒業資格ヲ得セシメ以テ市民ノ要望ニ副ヒ本市商業界発展ニ寄与セントス」と、夜間商業学校の設置による商業界発展の展望を述べて結んである。 「調書」によれば、位置は函館市的場町196番地、仮校舎は函館市船見町47番地、函館市立中学校に併置するものである。修業年限は本科4年、専修科1年、学級および生徒定員は本科8学級400名・専修科1学級50名、開校年月は昭和16年4月、設備は函館市立中学校の設備を共用し、商業学校設備は設置より3か年で完成するとある。また「学則」によると、教授時間は午後4時より9時までの間において学校長が定めることとされている(国立公文書館所蔵、文部省文書課関係文書「自昭一六年三月至昭二一年三月商業学校設置廃止認可」第6冊)。 |
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