通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影 |
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第3章 戦時体制下の函館 函館市立高等実修女学校の設置 |
函館市立高等実修女学校の設置 P1201−P1202 昭和16年3月19日付文部省告示第277号は、「二種以上ノ実業学校ノ学科ヲ置ク学校ニ関スル規程ニヨリ左記実業学校ヲ設置シ昭和十六年四月ヨリ開校ノ件昭和十六年三月十四日認可セリ」と告示している。函館市立高等実修女学校の認可の告示である。位置は函館市大森町、学科は商業および家政科、修業年限は2年、入学資格は高等小学校卒業程度である。函館市長は、同年2月26日、高等実修女学校の設置認可申請(函数第201号)を行っているが、申請書添付の関係書類「設置する事由」には、戦時体制下の人的要求の増大、女子実務員に対する求人の増加、女子実業教育の重要性の指摘がみられ、時勢の要求に応えまた教育の機会均等を実現するための高等実修女学校設置の必要性の強調がみられる。具体的には、「現函館実修女学校(公立青年学校)ニ於ケル商業科ハ元来昼間勤務スル者ヲ対象トシテ夜間毎日ノ授業ヲナシツツアルガ近年未ダ就職セザルモノノ入学者数著シク増加シ而モ其ノ大多数ハ昼間通学ヲ切望シ居り」、また 「女子中等学校ノ入学志願者ニシテ入学合格セザリシ者年々猶八〇〇−一〇〇〇人以上アル実情ヨリ観レバ別ニ昼間制女子実業学校(商業科並家政科)ヲ設ケテ時勢ノ要望スル一層教養実力アル実務女子青年並家政婦人ヲ養成スルノ必要ヲ痛感スルモノナリ」というものである。さらに「大衆女子青年ヲシテ比較的低廉ナル経費ヲ以テ中等教育ノ機会ヲ均霑セシメ以テ其ノ教育ノ程度ヲ高ムルコトハ函館市民教養ノ水準線ヲ向上セシムルト共ニ国民資質ノ向上ニモ寄与スル所以」という理由が挙げられているのは、中等教育普及の観点からも注目されるところである。 申請書の添付書類である「調書」によれば、位置は当分のうち函館女子高等小学校の校舎を使用し、将来は、函館市立中学校の移転に伴い、その校舎を専用校舎として使用するものとしている。学級および生徒定員は、商業科2学級100名、家政科2学級100名、授業料は月額2円50銭となっている(国立公文書館所蔵、文部省文書課文書「自昭一六年三月至昭十九年二月商業学校設置廃止認可」第5冊)。 |
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