通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影 |
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第3章 戦時体制下の函館 常会の開設 |
常会の開設 P1119−P1121 町会はそれぞれの単位で毎月定例会が開かれて生活全般にわたる事柄が話し合われ、これを常会と称した。函館市報に紹介された「常会の開き方に就いて」(15年9月)によると、常会は「形式ばった集まりでなく、あぐらを組んだまま胸襟を開いて納得の行くまで和気藹々の内に語り合ふ」という会であるということになる。これらの常会を束ねるものとして函館市常会(市常会規程…16年1月15日函館市告示第3号)が設けられ、第1回函館市常会は16年2月5日に開かれている。議長となった斉藤市長は、常会は「…各界の知能を連絡し而も清新溌剌の意気を以て上意下達下情上達の楔となり本市々政運営上の推進力となり且つは国策協力機関たるよう組織いたされた次第」とあいさつしている。それぞれの常会の概要を表にすると次のようになる(表3−3)。 常会ではいつも戦力の強化(貯蓄の強化、増産への努力、防空の強化)と戦争生活の実践(配給と消費の適正化、軍人援護の強化、輸送力強化への協力)が徹底事項として取り上げられた。 班常会での主な処理事項は、現住調査票の審査、物資配給通帳(通帳購入票による購入対象物資…米、木炭、砂糖、燐寸、味噌、醤油、菓子、塩)の検査、愛市1銭献金(1人月1銭)の取りまとめ、組合貯蓄台帳の整理(17年7月から)であった。 ちなみに最も力を入れた中の貯蓄奨励は、昭和17年度でみると全国目標230億円、北海道目標6億円で、函館市の目標額は表3−4の通りで、サラリーマンの負担は100円の俸給者で、職域組合で14円 地域組合(町会)で5円、国債等が5円の合計24円がまず貯蓄に回されるという状態であった。 町会が設置されることになったことで、15年10月に市役所の庶務課内に町会係が設けられ、関係事務を担当した。町会係は翌年12月からは班常会用に常会資料を毎月印刷配布し、常会での話し合いの充実を図っている。 また、納税施設法の施行により18年9月より町会部落会が納税団体となっている。納税成績は全市で18年が97%、19年は98%と完納に近い実績を上げている。 このようにこの時期の町会は「町内会に納税部を設け国税や地方税の納付を容易確実ならしめようとし、…積極的な意味を持ったのは国策協力という側面ばかりで」(中川剛『町内会』)あったといわれることになっていたわけである。
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