通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


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第3章 戦時体制下の函館
第1節 戦時体制下の行政
1 戦争協力体制

国民精神総動員運動

函館市防護団

「家庭防火群」の創設

国家総動員法

函館市の町会設置

常会の開設

町内会部落会に法的根拠

戦時体制下の市役所組織

国家総動員法   P1116−P1117

 近衛内閣は結局強行路線を選択したため、日中戦争は拡大、長期化することとなった。そこで13年1月、さらなる経済統制の強化と国民の戦争協力強化を目指して議会に国家総動員法が提案された。同法は政府に「戦時(戦争ニ準ズベキ事変ノ場合モ含ム)ニ際シ国防目的達成ノ為、国ノ全力ヲ最モ有効ニ発揮セシムル様、人的物的資源ヲ統制運用」(第1条)する権限を委ねるというもので、激しい論戦が交わされた。結果は、わずかの修正(重要事項を審議する国家総動員審議会の設置…最初の委員構成は貴衆両院議員各15、政府側15、有識者3)で成立(全50条)、5月5日に施行され、発動には慎重を期することになっていたものの、相次いで発動されていった。同法は統制内容はすべて勅令で定められるというもので、労働、物資、業務、企業活動、価格、言論など広範な分野がその対象となった。総動員物資というのは、兵器、艦艇、軍需品、被服、食料、医薬品、船舶、航空機、車両、馬、通信機械、土木建築物資、燃料、電力などで、総動員業務というのは、物資の生産、流通、輸出入、運輸、通信、金融、衛生、教育、情報、宣伝、整備ほかすべての業務で、戦争体制は本格的に整えられ、議会はまったく形骸化してしまった。
 日中戦争終結の展望がないまま、翌14年には米穀配給統制法、国民徴用令が公布され、さらに英仏がドイツに宣戦布告して第2次世界大戦が始まると、価格等統制令、賃金臨時措置令、地代家賃統制令と国民生活全般にわたる統制強化法令が次々と公布されていった。物価、賃金等は9月18日の水準で凍結され、生活必需品は勿論ほとんどの物品に公定価格が設定され、経済統制は日に日に厳しくなっていった。
 函館市では主食である米が入荷薄になり、警察が市内の米穀商から事情聴取して公定価格を調整(11月6日公定価格の値上げ実施)する事態となっている(11月7日付「函新」)。この頃から13年7月に創設された経済警察が活躍する時代となり、14年3月3日に函館警察署で経済警察協議会の発会式が行われた(3月4日付「函日」)。
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