通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


「函館市史」トップ(総目次)

第3章 戦時体制下の函館
第1節 戦時体制下の行政
1 戦争協力体制

国民精神総動員運動

函館市防護団

「家庭防火群」の創設

国家総動員法

函館市の町会設置

常会の開設

町内会部落会に法的根拠

戦時体制下の市役所組織

「家庭防火群」の創設   P1115−P1116


家庭防火群の訓練(三瀬哲秀提供)
 ところで、函館市も警防団を組織しておもに防空を意識した防衛体制を整えたわけであるが、その核となるのは近隣家庭の協力ということで、市の衛生火防組合連合会は、まず「家庭防火群」の整備に力を注いで、連日のように訓練が実施され、連合会長の指導があったことが記録されているので、紹介しておく。
 「家庭防火群」は12年9月20日の同連合会の臨時総会で承認された「家庭防火群規程」(21日施行)によって創出された核組織で、「空襲其他に因る火災を予防する為火災予防組合員数戸乃至十戸程度を以て共同防衛体を組織し家庭防火群と称す」(第1条)るものであった。創設の要旨は次の通りである。
 「近代戦は空襲に始終す」といわれているが、日本は木造建築物が多く、敵は必ずこれに目をつけて焼夷弾の投下を敢行する。その結果、多数の場所で同時に火災が発生し、限られた消防機関だけに頼ることができない。そこで「向ふ三軒両隣り」式に近隣のいくつかの家庭をもって「ブロック」をつくり、焼夷弾の延焼防止や平時の火災に迅速に対応することが必要である。そこで「家庭防火群」という共同防衛隊を創設し、自治的に火災被害を防止するものである。
 同規程は編成、設備、任務、統制、経費の5章からなり、群の活動のための用具から任務分担まで詳細にわたっており、もっとも留意すべき焼夷弾火災に対する防火については、「専ら周囲の物体に注水して延焼を防ぎ弾下には濡れたる布団濡筵の類を覆ひて注水し又は土砂を蔽ふべし 萬一布団筵の類を用ひず土砂のみを覆ふときは、水にて濡したる上多量に使用すべし 屋上、母屋、梁、天井等高所に止りたるときは之を落下せしめ延焼せる火を消防すべし」となっている(『函館衛生火防連合会史』)。
「函館市史」トップ(総目次) | 通説編第3巻第5編目次 | 前へ | 次へ