通説編第4巻 第6編 戦後の函館の歩み |
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第2章 高度経済成長期の函館 スルメを基底とした函館の産業経済 |
スルメを基底とした函館の産業経済 P385 敗戦後の経済混乱のなかでいちはやく立ち直りをみせたのがスルメの加工と取引であった。それらは、敗戦によって中絶した北洋漁業の喪失を埋める形で昭和20年代における函館の産業経済をリードし、20年代後半にその全盛期を迎えた。そうしたスルメの全盛期を支えていたのが、まず、第一にスルメ加工業の隆盛であった。函館はスルメの加工地帯である道南地域のなかでも最大の産地であり、また20年代後半における産出高は過去最高の水準に達していたからである。第二は、スルメの集散市場の復興であった。函館は戦前から道南産等スルメの集散地となってきたところであるが、戦後もスルメ加工の隆盛とあいまって集散市場としての拠点性を強めていくことになり、それと関わって函館海産業界の再興が急速に進められたからである。第三は、前記の集散機能と関わったスルメの輸出の増大とその輸出港としての復活であった。スルメは戦前から中国向けの輸出品であったが、戦後も昭和25(1950)年頃から30年代初頭にかけて相当量が香港を中心とした東南アジア諸国に輸出され、函館港における最大の輸出品目となっていたのである。第四は、函館海産物取引所の開設とスルメの先物取引の推進であった。それによって当地におけるスルメの取引は現物と先物の両面でおこなわれることになり、スルメ市場の活性化材料ともなっていたからである。第五は、スルメに関わる関連諸産業への波及効果であった。なかでも刻みスルメやのしスルメなどのスルメの2次加工業、イカ油を原料とした油脂製造業、莚などの資材製造業などは、スルメの生産・取引の増大とあいまって大きく活況を呈していたからである。 これらのスルメに関わる産業経済がイカ漁業と共に「函館経済はイカの十本足にすがっている」と称された「イカの都市(まち)」の基底体制をつくりあげていったのである。 |
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