通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影 |
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第3章 戦時体制下の函館 教学刷新評議会の答申 |
教学刷新評議会の答申 P1189 昭和10年に文部大臣の監督下に設置された教学刷新評議会の答申に基づき、同12年には教学局が中央監督機関として設置され、『国体の本義』『臣民の道』『国史概説』などが刊行された。また教学刷新実施上必要な基本方針としては、特に祭政教の一致を掲げ、実施事項としては、各学校においては、我が国古来の敬神崇祖の美風を盛んにし、学校を国体に基づく修練の施設たらしめることなどが挙げられている。 こうした教育政策の動向は、大正期に高まった労働運動や社会運動に対するものであり、このような運動の背景をなす民本主義や社会主義などに対処するためのものであった。大正期以降の慢性的恐慌やそれに続く昭和劈頭の恐慌下の窮迫した国民生活の中で激化していった労働争議、小作争議、さらに大学、高等学校、専門学校などで活発化した社会科学研究や学生運動に対して、政府は一方で思想の弾圧によるとともに、他方では思想善導の施策を展開していった。自由主義や社会主義などの外来思想を批判し、我が国の国体の本義を明らかにし、国体および日本精神に基づく教学の刷新を図るというのが答申の示す方向であった(仲新監修『学校の歴史』第1巻)。 |
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