通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


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第2章 20万都市への飛躍とその現実

第7節 都市の生活と新しい文化

4 社会問題・社会事業
1 米騒動の函館への波及

北海道での米騒動

市内の米価騰貴

伝えられる「騒動」

富豪の拠金と廉売

廉売の継続

廉売販米の中止

廉売の問題点

廉売の継続   P797−P799

 第2回目の廉売は、8月22日から26日の5日間行われることになり、
22日 海岸町青物市場   23日 住吉小学校   24日 若松小学校
25日 幸小学枚    26日 宝小学校
と、以上の5会場が売場となる。毎日の販売量を日本米200俵、外国米100袋とした。外国米を300から100袋に減じたのは、前回の販売状況によるもので、この減量で輸送経費が節約されるのだという。
 1人への売渡し量も、日本米は、1円券1枚で3升、外国米は50銭券1枚で3升、両方をあわせて買うこともできるとした。日本米を3升としたのは、前回の状況からみて、5升ずつ販売すると、買えない人が出るという状況があるからだと、説明されている。
 販売価格について、記者倶楽部からは、日本米は1升30銭、外国米は15銭とすべきではないかと要望があったが、廉売は、まだ何回か続けなければならず、資金の問題もあるから、今回は、この価格にしてあるとのことであった。
 第2回の販売量は、次のとおりだった。

 日本米      外国米      合計
 (石 斗升)    (石 斗升)    (石 斗升)
 二十二日     六九・二一    四二・六三    一一一・八四
 二十三日     七九・四四    五五・四五    一一二・八九
 二十四日     七七・一九    五〇・五四    一二七・七三
 二十五日     七八・九三    四七・六四    一二六・五七
 二十六日     七七・七〇    七〇・九八    一四八・六八
  合計      三八二・四七   二四五・〇四    六二七・五一
 第一回廉売分合計
          四八六・六〇   二三六・〇一    七二二・六一
  通計     八六九・〇七   四八一・〇五  一三五〇・一二

 第3回目の廉売は8月29日から9月15日までとして、販売業務は、衛生組合と、米穀商組合(小売商組合)に委託することとなった。米穀商組合では、店頭に証表を掲示して委託商店であることを明示し、組合員以外の商店は廉売業務に参加させない。常に廉売米を用意し購買券と現金によって販売するとした(8月28日付「函毎」)。その他に次のような売捌条件を決めている。
 衛生組合は、1人1日3合3勺の計算で、1家族、1回の購入を3日分として購買券を交付する。1日の売捌総量は、日本米200俵、外国米100袋として、区の条件により増減あるものとする。なお小売商の売捌手数料は、空俵、空袋を無償下付するのほか、一切無償とする。
 この第3回廉売は、「頗るの不成績」とみられていた。3日分の日本米600俵、外国米300袋が、米穀商組合に配付されたが、衛生組合から配付された購買券は、3日分で日本米8620枚(215俵半)、外国米483枚(6.9袋)という状況だった。販売方法が周知されず、衛生組合のうちには、町内に知らせる方法を全くとらなかったところもあったという状況だったからである。
 第4回の廉売は、9月16日から9月30日までとされ、販売方法は、前回と同じ、米穀小売商への委託によるものとした。売渡し価格も前回と同額。しかし、小売商への手数料を空俵のほか、日本米1俵20銭、1俵の量り減り5合を認める。外国米は1袋25銭の手数料ということとなった。今回の販売状況は好調といわれ、特に外国米の移入量が十分でなく、価格騰貴の動きによっては、外米不足は深刻な問題となるかも知れない、とされていた。日本米も9月27日の1日だけで、550俵配当した分が、すべて売り尽くしとなる状況であった(9月28日付「函毎」)。

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