通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影 |
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第2章 20万都市への飛躍とその現実 第6節 民衆に浸透する教育 2 昭和初期の教育 2 中等学校 教化総動員運動の展開 |
教化総動員運動の展開 P681 昭和初期の社会教育で特筆すべきことは教化総動員運動である。大正末期以来の慢性的恐慌のもとで国民生活が窮迫し、社会主義運動や労働運動が活発化する中で、昭和4年には新設の社会教育局によって教化総動員運動が盛大に展開されている。この運動の目標は「国体観念明徴化・国民精神作興」と「国民生活改善・国力培養」であった。この運動は函館の教育界にも早速影響を与え、「市強化動員」として実施され、具体的展開としては「国情ニ鑑ミ思想善導国難打開ノ対策トシテ、特ニ(イ)国体観念ヲ明徴ニシ国民精神ヲ作興スルコト、(ロ)経済生活ノ改善ヲ図リ国力ヲ培養スルコトノ二大目標ヲ対象トシテ、之レカ徹底ヲ期センガ為公私経済緊縮委員会北海道支部函館地方会卜提携シ本年九月ヨリ本市動員トシテ左記計画案ニヨリ連続的ニ之ガ実施ニ着手」している。計画の内容は、(1)強化動員協議会、(2)市吏員市立病院、図書館職員に対する市長訓示、(3)学校動員懇談会、(4)青年動員懇談会、(5)婦人動員懇談会、(6)団体動員懇談会、(7)民衆娯楽機関動員懇談会、(8)講演会、映画会、(9)パンフレット、リーフレット、ポスター配布、(10)標語募集、(11)10月2日、5日の両日伊勢神宮正遷式当日各戸国旗掲揚遥拝、(12)10月2日、神社は精神講演会を開き市民は最寄神社に参拝のこと、などが挙げられており、極めて大掛かりな運動となっているのである。その内容は、昭和戦時期の社会教育の方向を予知させるものといえる(『函館市昭和四年事務報告書』)。 |
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