通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


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第2章 20万都市への飛躍とその現実

第6節 民衆に浸透する教育

1 大正デモクラシーと教育

5 社会教育

社会教育

青年団の組織化

青年訓練所

青年団の組織化   P668

 大正初期には、内務・文部両省訓令により、指導の方向が示されて、全国的に青年の修養団体としての青年団が組織化されている。大正4年の内務・文部両省訓令は、青年団は「青年修養ノ機関タリ」と位置づけ、「其ノ本旨トスル所ハ青年ヲシテ健全ナル国民善良ナル公民タルノ素養ヲ得シムルニ在リ」とその目的を明確にし、具体的目標を「団体員ヲシテ忠孝ノ本義ヲ体シ品性ノ向上ヲ図リ体力ヲ増進シ実際生活ニ適切ナル知能ヲ研キ剛健勤勉克ク国家ノ進運ヲ扶持スルノ精神ト素養トヲ養成セシム」ことにあるとし、地方実際の状況に応じた適切な指導により団体の健全な発達を図ることを地方当局者に求めていた。さらに同7年の内務・文部両省訓令では、青年団体の健全な発達に資すべき要項を具体的に示し、実際活用の智徳を進めるための補習教育の普及徹底、公共精神の養成や公民的性格の陶冶のための補習教育、図書の選定、心身の素質の大成、指導方法に関する先進者間の連絡などを示していた。
 大正12年現在の市青年団の状況は、「函館青年団ト称シ十三年以上二十五年以下ノ全市青年ヲ以テ組織シ現在団員数五百三名アリ之ヲ十二分団ニ分ツ団長ニ市長ヲ仰ギ分団長ニ市内小学校長ヲ推シ」「講習、講話、教育的活動写真、夜学会、柔道、撃剣、相撲等各種運動、見学旅行、青年会館、図書館(簡易)ノ建設及道路改修、火災予防、水難救済公益事業幇助風俗改善ノ宣伝」を実施事項に掲げている(『函館市学事一覧』)。
 その後同15年の青年団には、函館市聯合青年団(団員7101人)および各町単位の青年団48が挙げられており、全市的な組織化が進行している。
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