通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


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第2章 20万都市への飛躍とその現実

第6節 民衆に浸透する教育

1 大正デモクラシーと教育

5 社会教育

社会教育

青年団の組織化

青年訓練所

社会教育   P667−P668

 函館教育会が、大正期にもその事業として通俗講話会や各種学術講演会を開催していたとことが、大正期各年度の『函館区学事一覧』に報告されており、区内の主要な社会教育の実施主体であったことが知られる。
 大正6年の例では、通俗講話会5回、学術講演会が2回開催されている。通俗講話の講演者には、工業補習学校訓導、拓殖銀行員、海事部長、学務委員、小学校長、商船学校教諭、典獄など各種の学校関係者や会社員など適任の講師が選ばれていることが分かる(『函館教育』第212号、大正7年)。この年の学術講演の講師には、元東京美術学校教官と予備海軍中将が依頼されたという。また、同年7月の通俗講演会に講師として臨んだ区内の小学校長は、「活動写真について父兄諸君に望む」という題で、小学校の児童の間に盛んになっている映画見学についての注意を喚起する講演を行っている。活動写真には利益と同時に弊害もあり、特に多くの映画が大人用に制作されており、子どもに適するものが少ないので、できるだけ回数を少なくし、父母同伴の見学を勧めることを強調していた(『函館教育』第210号)。
 教育会による社会教育活動については、この頃区内の小学校教員が、通俗教育(社会教育)というのは、「国民一般の精神を感化し、科学上の普通の知識を普及する広汎なる意味の国民教育」であり、「各地方教育会は大いに発奮し慎重に研究して少なくも其の地方地方に於て…其の地方に適する方法により実施してほしい」とその振興を訴える論説を教育雑誌に寄せているが(『函館教育』207号、大正6年)、それが当時の一般的な考え方であったとみてよいであろう。函館教育会の活動は、まさにこのような趣旨によって実施されていたといえる。
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