通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影 |
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第2章 20万都市への飛躍とその現実 第4節 戦間期の諸産業 1 函館港(国鉄専用桟橋・埠頭を除く) 北洋漁業 |
北洋漁業 P510−P511
北洋漁業は、春に出漁、秋に終了するという季節性を持つので、自然、函館港の出入船舶数も季節性を持つ。函館税関は、昭和4年、函館港は保護海面が50余万坪と狭く、「到底今日ノ如ク多数ノ船舶ヲ安全碇泊セシム事サエモ覚束ナイ状態」(『函館港港費調査書』)と酷評しているが、それは「春五、六両月露領漁業乗込時期及秋九、十両月漁場切揚繁忙時期」(同前)の繁忙期を指していっているものだと考える。年間いつも港に船が入ってくるのではない。閑散期には港もまた閑散期なのである。この小型船の集中、季節性の存在が、函館港の海陸連絡設備の改善を実現させない原因になっていたと考えられる。この季節性は、船員と港湾労働者の季節的繁閑を規定する。繁忙期には、船員と港湾労働者、沖仲仕、陸仲仕、倉人夫が港にあふれ、閑散期には、ひっそりとなる。従って常用が少く、季節労働者、臨時日雇が多くなる。別の表現を借りれば、不完全就労、半失業者が多いということになる。労力請負業や周旋業は、そこから生れてくるのである。
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