通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


「函館市史」トップ(総目次)

第1章 露両漁業基地の幕開け
第2節 商工業の進展と海運・漁業の展開
1 発展する函館商業
3 函館商業会議所の設立

商工会から商業会議所へ

函館商業会議所の創立

商業会議所の定款

商業会議所の活動

函館商業会議所の定款   P88−P89

 明治36(1903)年1月26日に認可された函館商業会議所定款は全8章、98条から成っていた。すなわち、第1章 総則(第1条〜5条)に始まり、以下、第2章 議員の選挙(第6条〜22条)、第3章 役員(第23条〜31条)、第4章 議事規定(第32条〜50条)、第5章 仲裁規定(第51条〜70条)、第6章 事務規定(第71条〜80条)、第7章 会計規定(第81条〜97条)、第8章 附則(第98条)、という構成であった。
 いま、その概要を紹介するならば、まず議員定数は30名(第4条)、特別議員は6名であり(第5条)、議員の任期は4年間であった。また、役員として会頭1名、副会頭2名、常議員5名を置くと共に(第23条)、その任期は2年間となっていた(第25条)。そして、会議所の機能を的確に示すものとしては、第5章の仲裁規定がある。すなわち、第51条には「函館区内ノ商工業ニ関スル紛議ノ仲裁ヲ本会議所ニ請求スル者アルトキハ役員会ニ於テ其受否ヲ決スヘシ」とあり、以下、会議所に「仲裁判断」を求められた場合には、その費用として「相当ノ手数料ヲ予納」させ(第53条)、その金額は、一般に5円から100円の範囲内に設定されていた(第54条)。その上で、「本会議所ノ仲裁ハ役員会ニ於テ議員及特別議員中ヨリ仲裁委員ヲ選定シテ判断ヲ為サシ」めたのである(第55条)。
 この定款とあわせて、函館商業会議所議事細則(全34条)、函館商業会議所処務細則(全22条)なども制定されているが、処務細則の規定によれば、会議所の執務時間は、
 四月  一日〜 七月 十日   午前八時から午後四時まで
 七月十一日〜 九月 十日   午前八時から正午まで
 九月十一日〜  同三十日   午前八時から午後四時まで
 十月  一日〜翌年三月三十一日 午前九時から午後四時まで
 毎土曜日 正午まで
となっており(第37条)、季節的な変動が顕著である。また、年間の休日は、日曜日、大祭日、祝日、そして12月28日から1月3日までの7日間であった(第38条)。
 この函館商業会議所定款は、その後、大正5(1916)年9月13日と大正12年12月5日の2度にわたってそれぞれ改正認可されているが、大正12年の改正では、全99条となっている。そして、前年の市制施行にともない、会議所の地区は函館市の区域となり(第2条)、事務所は鶴岡町1番地に置かれている(第3条)。議員定数は、6名増加して36名となり(第4条)、議員の選挙に際しての選挙権者も、2級に分かれている(第6条)。
 また、役員数は、会頭1名、副会頭1名、常議員7名(第22条)、その任期は4年間となり(第24条)、以前の定款に較べて任期は2倍に延長されている。

「函館市史」トップ(総目次) | 通説編第3巻第5編目次 | 前へ | 次へ