通説編第4巻 第6編 戦後の函館の歩み


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第2章 高度経済成長期の函館
第5節 都市構造と住文化の変容
2 高度経済成長期における住文化の変貌

聞き取りによる住生活の変遷

函館市民の居住環境の実例

テレビとテーブル

電気洗濯機・電気冷蔵庫・ご飯炊き

暖房の変化

住文化における高度経済成長期の意味

暖房の変化   P520−P521


薪切り屋さん(金丸大作撮影)
 住生活に関する聞き取りで注目されるのは、暖房器具の変遷であろう。日本列島のなかでは寒冷地になる函館の生活に密着していたために興味深い事実はいろいろあるが、まずその熱源に注目して、薪ストーブから石炭ストーブ、そして石油ストーブへの変化を確認しておきたい。すなわち、この変化の過程は、最初に述べた都市構造の変質の背景としての「人力」「石炭」「石油」に対応しているのであり、函館の住文化そのものが全地球的な動きに見事につながっていることを象徴的に示していることになる。
 ほとんどが石油ストーブに転換してしまった現在、薪ストーブ・石炭ストーブに関しては懐かしい思い出として語られる話が多かった。たとえば、「薪ストーブの薪を一シキ(ひとしき)二シキ(ふたしき)などと表現します。積み上げたひとしきの寸法は、6尺×5尺×2尺5寸。夏に薪と一緒に薪切り屋さんと出面の人2、3人が来て、荷台から下ろした薪を切り、割って軒下に積み、冬に備える風景はモーターで薪を切るキーンという音、薪を割る音とともに夏の風物詩でした。薪ストーブのやわらかい暖かさとともになつかしい思い出です。」(昭和5年生まれ・杉並町)という手紙を聞き取り後にいただいた。また石炭ストーブによっていかに部屋が汚れ、煙突掃除が大変であったかという話(昭和5年生まれ・杉並町)もなかば懐かしい話としてよく聞くことができた。
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