通説編第4巻 第6編 戦後の函館の歩み


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第2章 高度経済成長期の函館
第5節 都市構造と住文化の変容
2 高度経済成長期における住文化の変貌

聞き取りによる住生活の変遷

函館市民の居住環境の実例

テレビとテーブル

電気洗濯機・電気冷蔵庫・ご飯炊き

暖房の変化

住文化における高度経済成長期の意味

函館市民の居住環境の実例   P517−P518

 典型的とみられる聞き取りの例を紹介したが、結果としてみると、明治43(1910)年生まれの人が最年長、最年少が昭和11(1936)年生まれ、大多数は大正後半から昭和一けた生まれの人びとから聞き取りができた。調査時点で60代前半が若い方で、年長の人は90歳に及び、仕事のうえでは現役をすでに引退している人が多いが、まだ仕事で頑張っているという人もいた。この世代の人びとが現在に至る函館を支えてきたし、今でも支えているといってよい。
 函館に住み着いてから2代目、3代目が多く、その居住地についてみると、周辺部ないし郊外の人びとは同じ場所に住み続けているが、西部地区・中央部地区・東部地区については2回、3回と住所を変えている例が多い。なかには6回という例もあった(昭和9年生まれ・日吉町)。結婚などによる移転もあるが、この間の大火などによって住む場所を移らざるを得なかった経歴のある人も少なからずあった。
 住宅の建物は自宅、借家さまざまであるが、都市住宅としては借家が多い。自宅の場合、建て替えた例が多かったが、これは函館に限らず全国的にみられるこの時期の建物の特徴なのであろう。この時期に函館に登場した新しい住宅形態として、高層の鉄筋コンクリートによる市営松川町アパート、そして郊外の市営住宅がある。これらは戦後に新たに登場した住宅形態であり、函館という風土にあわせてそれぞれ工夫を重ねて住み続けられたことが聞き取りによってもうかがわれた。
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