通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


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第3章 戦時体制下の函館
第5節 戦時下の諸相
3  強制連行と捕虜問題

2 朝鮮人の強制連行

強制連行の開始

協和会の設立

朝鮮人の「移入」状況

函館市の事業場

東日本造船(株)の場合

函館船渠(株)の場合

朝鮮人労働者の抵抗

函館市の事業場   P1247−P1248

 このようにみてくると、函館市における朝鮮人強制連行の主たる事業場は、造船関係と運輸関係である、ということができよう。
 造船業関係での朝鮮人の使用は昭和18年以降のいわゆる「官斡旋」段階から開始され、当時の新聞にも、彼らの動向が部分的に掲載されている。例えば昭和18年6月4日付けの「北海道新聞」には、「護国の忠霊に参拝/″英霊に続く″半島労務者」と題する次のような記事がある。
 すなわち北海道協和会では、戦争を勝ち抜くための1つの方策として、「半島労務者に時局認識を促し、仇敵撃滅の意気を昂揚する」目的で、5月25日から6月10日までを「半島労務者訓練強調運動」期間とし、全道で一斉に「積極的指導」を行っていること、函館市内でもこれに呼応して、函館署の特高主任が先頭に立って市内の工場、事業場で働く「半島労務者」を指導していることなどが、この記事の趣旨である。さらに、ソロモン群島上空で戦死した山本五十六海軍大将の国葬が行われる6月5日には、午前6時に市内の「半島労務者代表」250人が弁天町の電停終点前に集合し、市中行進を行った後、護国神社に参拝する予定である、とも記されている。
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