通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


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第3章 戦時体制下の函館
第5節 戦時下の諸相
3  強制連行と捕虜問題

2 朝鮮人の強制連行

強制連行の開始

協和会の設立

朝鮮人の「移入」状況

函館市の事業場

東日本造船(株)の場合

函館船渠(株)の場合

朝鮮人労働者の抵抗

朝鮮人の「移入」状況   P1247

表3−38 北海道の産業別朝鮮人移入状況
区分
移入累計数
3月末現在数
人員
比率 %
人員
比率 %
石炭山
金属山
土建
鉄鋼
軽金属
造船
その他
43,351
8,377
15,478
849

100
63.6
12.3
22.7
1.3

0.1
27,046
4,022
5,393
835

100
72.3
10.8
14.4
2.2

0.3
合計
68,155
100
37,396
100
中央協和会「移入朝鮮人労務者数調」
(昭和18年3月末現在)より作成。
 また、昭和18年3月末現在の北海道における産業別朝鮮人移入状況を示すと表3−38のようになる。この表にもみられるように、移入累計数では63.6%、同年3月現在数では72.3%を、依然として石炭山が占めていることが明らかであろう。移入累計数でこれに次ぐのは、土建(22.7%)、金属山(12.3%)、鉄鋼(1.3%)といった分野である。これらの事業場を欠く函館では、朝鮮人を大量かつ集団的に使用する労働現場は、それ程みられなかったというのが実態であろう。そのような状況の中で、函館にも関わりがあるとみられるのは、表3−38でいえば造船であろう。北海道庁が昭和20年1月に作成した「第三次勤労動員実施計画表」によれば、「半島人・華人」が割当てられた函館市の事業場は、函館船渠(株)函館工場が100人、日本通運(株)函館支店が50人、函館港運(株)が450人(内訳は「半島人」が250人、「華人」が200人)となっている。また、20年2月1日現在の国鉄に関わる「昭和二十年度半島労務員移入計画表」によれば、函館駅の労務員不足200人を補うために同数の朝鮮人が「移入予定数」として挙げられている。
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