通説編第4巻 第6編 戦後の函館の歩み |
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第1章 敗戦・占領、そして復興へ 公選方法決定 |
公選方法決定 P136−P137 定例市政協議会が15日開かれ、市長候補者選考に関する会議招集準備委員会からの報告に基づき協議の結果、会議の日程、招集範囲などを決定した。日時は22日午後2時、会場は汐見町青年会館、招集範囲は法令に基づき市役所、警察、勤労署に届出済みの諸団体、結社、政党などと市会議員、町会長、婦人層代表とし、これらには市政協議会側から招請状を発して参集を求めることとした。参加を求める予定人員は大体300名とした(昭和21年5月17日付け「道新」)。ところが21日になって「十七日に郵送で招請状を発送したが、同日通信上の突然の事故で会議開催日まで各出席者に到達せぬこととなつたので協議会側では本紙上を通じて左の範囲内から各代表者が当日出席されることを望」むという記事が「北海道新聞」紙上に報道された。「通信上の突然の事故」の内容は不明だが、諸団体の代表者はこの記事で22日の会議招請団体か否かを確認のうえ会議に臨むこととなったのである(5月21日付け「道新」)。この記事によると「招集範囲」は、勤労署に届出済みの労働組合(函館駅労働組合ほか54組合)、市役所秘書課に届出済みの結社(社会党函館支部ほか15結社)、市役所経済課に届出済みの商業組合(北海道草履統制組合本部ほか8統制組合と全国自転車統制組合函館支部ほか63組合)、警察に届出済みの組合および団体(北海道薬剤師会函館支部ほか22組合ならびに団体)、市会議員39名、町会長59名、町会婦人委員59名であった。5月22日、招請322名のうち160名が出席して各層代表者会議が開催された。各町会の世論調査の結果(公選賛成53町会、市会一任1町会、調査未了5町会)が報告された後、満場一致で公選と決定、続いて公選方法の審議に入ったが、委員会に一任する案と、この場で決定すべきで、自由立候補制とするという案が出て賛否両論が続出した。座長(山崎市会議長)から、方法は衆議院議員選挙法に倣っておこない、選挙責任者、経費、罰則、日時、保証金など細部の点に関しては委員会(公選準備委員会)を設置して委員会で決定するようにしたいとの提案があり、満場一致でこの案が支持され、委員は座長を含めた21名を座長指名で後日書面通知することも即時決定して会議を終えた。市長公選をめぐる動きを積極的に報道してきた「北海道新聞」は、「市民は誰でも自由に立候補 全国初の市長公選制」との見出しで、「市長候補者を自由立候補の域まで拡張せしめたのは既に公選制を実施した塩竃市その他都市にも見られぬ全国類例のない方法として注目されるものである」、と「各層代表者会議」での決定を誇らしげに伝えた(5月23日付け「道新」)。 25日と29日の2回委員会を開催した公選準備委員会は、公選実施の具体事項を次のように決定した(昭和21年5月30日付け「道新」)。 (1)投票日時 六月十六日(日曜)午前六時より午後六時まで、但し亀尾、上湯川の二部落は午前八時より午後四時まで (2)投票場所 各町会及各部落会事務所 (3)投票有権者の資格 六月一日現在市内現住満二十歳以上の男女 (4)被選挙権者の資格 六月一日現在市内現住満二十五歳以上の男子 (5)候補者の届出 六月一日より六月十日午後四時まで (6)投票の方法 単記無記名 (7)選挙長 山崎松次郎(市会議長) (8)副選挙長 岡田幸助(市会副議長) (9)運動方法 衆議院議員選挙法に準拠 (10)開票日時及場所 六月十七日午前八時新川国民学校 (11)投票の有効無効 総投票数が名簿登録数の二分の一に満たざるときは選挙を無効とす (12)当選者 有効投票の十分の二以上の得票者にして得票数の順位による (13)投票者名簿 六月十日迄に各町会各部落会において作製すること (14)経費 各町会において負担すること約一万円(一戸当約二五銭) |
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