通説編第4巻 第6編 戦後の函館の歩み |
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第1章 敗戦・占領、そして復興へ 労働組合などが主導権 |
労働組合などが主導権 P133−P136 市政協議会が結論を出せずに問題を先送りにしたまま13日の市政協議会を開催しようとすることに対して、函館地区労働組合協議会、社会党函館支部、共産党函館地区委員会、民主主義実践連盟、函館文化連盟の代表者30名は市役所に押しかけ、代表が山崎市会議長と会見、市政協議会の公開と傍聴を要求した。山崎議長は「私一個の考へで返答は出来ない、協議会開会と同時にその旨を伝へ然る後に返事する」旨を答えたので、代表らは会議室の隣で待機した。河合市会書記長が「議長からの伝言であるが協議会は傍聴許すわけにゆかぬ」との返事を持ってきたことに憤慨した代表は、「市会は民意に逆行し闇取引によって市長を決めんとするのであるか」と詰寄り、その後現れた岡田副議長と押し問答、最終的には議長が対応し、「傍聴は許すわけにはゆかぬが各会代表者の決議文の趣旨説明は協議会で充分承りませう」ということに決り、幸崎(労協)西館(共産)渡辺(文化)高岡(民連)の4代表が「市長は飽までも市民大多数の要望である公選によるべし」と市政協議会会場で「公選」を力説した(昭和21年5月14日付け「道新」)。この日の第4回市政協議会は、山崎議長以下議員25名が出席して市役所会議室で開催された。労働組合などの代表の意見を聞いた後一旦休憩し、午後5時に再開して公選か市会での投票実施かの決を採った。山崎、岡田(幸)、恩賀、太田、西田、高木、佐々木、谷、河合の各議員が投票説に賛成したが、13対9で「公選」に決定、その選考方法についても市民に問うことを決めた(同前)。 市長公選の会議招集準備委員(議長指名)となった山崎、岡田の正副議長と臼木、鳥井、輪島の3議員は、14日第1回委員会を開き、会議に招集する範囲はできる限り広範囲とし、市会議員、町会長、労働組合、政党、政治結社、業界、教育界、経済、文化、思想、その他諸団体、婦人会などの各代表者を網羅することとし、会議の期日は22日前後、会場は汐見町の青年会館が予定された(昭和21年5月15日付け「道新」)。 このような状況のなかで、社会党函館支部、共産党函館地区委員会、民主主義実践連盟、函館地区労働組合協議会評議員会の4団体は、17日午後6時30分から新川国民学校講堂で「市長公選市民大会」を開催した。「開会前より大衆は続々詰かけるといふ熱心ぶり、中には婦人の多数加わり、市政の民主化を戦ひとらんとする市民の熱意を力強く反映せしめた」という大会で、司会者高岡梅治郎(民連)の挨拶の後、議長には満場の拍手で橋本清次郎(社会党)が推され、労働組合協議会幸崎章吉、共産党福田鎌次郎、社会党生駒克巳、民主主義実践連盟佐藤徳太郎の4名が演説をおこない、津田伊平(共産)から「市民大会の名の下に山崎市会議長並に町会長に対し公選の決議文を提出すべきである」との提案がなされ、決議文に付された理由は、次のとおりである。市会議長と町会長あてにそれぞれ3項目の理由が付された決議文(市長の選任は民主主義の原則により絶対公選の方式に依るべし)が朗読され拍手による賛意が表明され、2時間半にわたる大会は閉会した(昭和21年5月18日付け「道新」)。 市会議長宛の理由
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