通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影 |
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第3章 戦時体制下の函館 北千島の鮭鱒缶詰業 |
北千島の鮭鱒缶詰業 P1181−P1183
こうした業者間の過当競争を抑制するため、北海道庁は、漁業者と製造業者を集めて漁船所属分野協定協議会を開き、両者の協調を図ってきたが、その調整はしばしば難行した。協議会では、缶詰業者の買魚価格が決められていたが、缶詰業者間の競争の結果、魚価は年々上昇を続け、紅鮭1尾の価格は、昭和9年に85銭であったものが、11年には90銭、12年には1円に値上げされた。この間大漁による缶詰製品の値下がりもあって、缶詰工場の経営は著しい苦境に陥った(『北千島の水産概要』)。 買魚契約の方法には、一般の売買契約と仕込契約があり、一般の売買契約では、まず工場側と漁船側が協議して漁期間中の買魚価格を決め、工場側は漁船に対して3000円〜5000円の前渡金を渡すことになっていた。そして毎月3回精算することになるが、売買価格が前渡金を超過する場合、工場側は超過分を漁船側に支払い、漁期終了後の決済で漁船側の販売額が前渡金に達しない場合は、その不足額を漁船側が支払うという内容のものであった。 また仕込契約では、工場側が、漁船の全漁獲物を担保に、漁期間中の一切の費用を貸付け、漁期終了後、漁獲物の販売代金によって貸付金や金利などを精算することになっていた(『北千島ニ於ケル水産業調査報告書』)。 |
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