通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


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第2章 20万都市への飛躍とその現実

第6節 民衆に浸透する教育

2 昭和初期の教育

1 初等教育

欠食児童

尋常夜学校

学齢児就業率の上昇と教育費の重圧

授業料問題

続く二部教授

授業料問題   P675

 昭和初期の函館の教育界で特筆すべき出来事は、長年多くの批判の中で徴収され続けていた小学校尋常科の授業料が、道内の他市に先駆けて昭和2年以降廃止(小増は2年以降、札幌は5年以降廃止している)されたことであろう。ところが、昭和7年に至ってにわかにクローズアップされたのが、尋常科の授業料の再徴収の問題である。この年の2月に市当局は、児童数の増加に伴って新しく学枚を新設することを計画し、そのための市債の返還財源として授業料の徴収を行おうとしたものである(2月12日付「函毎」)。
 これに対しては、市会内の各派を含め各界の反対が強くついに実現を見なかったが、それだけ市の財政が、教育費の圧迫を受け、苦境にあったことを物語っている事実といえよう(昭和7年3月12日付「函毎」)。その後、昭和9年の大火による焼失校舎の再建のため、翌10年から再び尋常科の授業料が徴収されることとなる。
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