通説編第4巻 第6編 戦後の函館の歩み


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第1章 敗戦・占領、そして復興へ
第2節 地方自治の民主化と市政
4 市警察の設置と廃止および市消防の設置

自治体警察の誕生

昭和29年の新警察制度への移行

函館市消防署の設置

昭和29年の新警察制度への移行   P153−P154

 しかし本来、広域な行政対応を要する面のある警察事務を、国家地方警察と自治体警察という二重構造的な警察組織で担当することは、事務運営の迅速性、合理性という面で問題もあった。さらに行政経費の膨張に苦悩していた市町村にとって、自治体警察経費の負担増が当面の課題であった。そこで、昭和26年6月12日に警察法が改正され、自治体警察の廃止又は復活を住民投票で決定できることとされた(前掲『地方自治百年史』)。この改正をうけて、昭和28年1月1日に木古内町警察が廃止され、木古内地区警察署となって、茂別村および知内村も管轄とした。この時、上磯町警察も廃止され、上磯町は函館地区警察署の管轄となった。(『函館中央警察署史』)この流れは加速し、昭和29年6月7日に昭和23年の警察法を全面改正した新警察法(昭和29年法律第162号)が公布され、7月1日施行された。前文はカットされ、第1条がこの法の目的で「この法律は、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するため、民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、且つ、能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織を定めることを目的とする」となった。「能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織」整備ということで、国家公安委員会の委員長は国務大臣が充てられ、都道府県単位の公安員会は残され、国家地方警察と自治体警察が廃止され、都道府県単位に自治体警察となり、北海道は北海道警察本部の下に5方面本部が組織され、その下に警察署が置かれた(全道では63警察署)。函館では9月1日に函館市中央警察署と函館地区警察署が管轄していた区域を担当する函館中央警察署が発足した(『函館中央警察署史』)。
 「どうするか? 市警悩みの維持費」(昭和23年7月17日付け「道新」)「自治体のなやみ″警察″」(昭和25年1月14日付け「道新」) 「低下の一途 市警の検挙率」(昭和25年12月23日付け「道新」)「もめる″市警庁舎″予算不足で工事投げ出す」(昭和26年2月15日付け「道新」)「一貫性のない警察費 市会予算委、活発な討議」(昭和27年3月14日付け「道新」)と、あまりかんばしくない見出しで報じられ続けた自治体警察は、地方分権化と民主化の試みとしての評価を残して、廃止されてしまった。
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