松前蝦夷地之図
内容説明:
軸1幅 紙本 着彩 原本 古川古松軒/筆 古川古松軒(1726~1807)は、備中国下道郡新本村(現岡山県総社市)の出身であり、老中・松平定信に仕えたこともある有名な地理学者である。各地で実地調査を行い、多くの地誌・地図を作成した。天明8年(1788)、幕府役人、藤沢要人輔長等の東北・蝦夷地巡見使一行に随行した古松軒は、初めて蝦夷地へ渡り、乙部付近から亀田付近までを一行と共に視察した。このとき、松前藩の文庫にあった蝦夷図に基づいて作成したのが本図である。図形は明らかに国絵図系蝦夷図であるが、それを大きく変形した蝦夷図といえる。図中にびっしりと地誌が記載されるが、その内容は松前渡海の様子、松前における交易、蝦夷錦の渡来、義経伝説、商船往来、鬼熊の出没、シコツ沼の奇魚、アイヌ風俗、などである。また、古松軒は先年に刊行された林子平著『三国通覧図説』を厳しく批判したことでも知られるが、本図でもその批判をしている。江戸に帰着した翌、寛政元年(1789)、著作したのが有名な「東遊雑記」である。本図は古川家から寄贈された自筆図であり、現在、函館市有形文化財に指定されている。(高木崇世芝/文)昭和37年函館市指定文化財
西暦:
1788年
和暦:
天明8年
サイズ:
108×80cm
分類:
地図・図面
資料番号:
be000806-0002
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