北海道駒ヶ岳大爆発大噴火の実況　黒煙朦々として天に冲する凄惨極りなき此光景は水郷大沼駅付近に聳ゆる火山駒ヶ岳にして海抜三七六二尺北海関門に於ける雄大なる一大勝景の名山なり

北海道駒ヶ岳大爆発人家埋没之光景　一望溶岩の沙漠と化し人家は降石灰の為め埋没して樹木は枝を折られ皮をはがし森林は山火の為め全滅して凄惨を極む降石灰平均五尺といふ所によりては一丈余の所もあり

北海道駒ヶ岳大爆発の惨状　駒ヶ岳より赤井川駅方面に向つて避難する一情景にして老婆を荷馬車に積み負傷者は杖にすがり老幼相いたわりて避難する実況なり

北海道駒ヶ岳大爆発の惨状　鹿部々落函館水力発電所社宅付近の惨状にして溶岩降石灰に埋れ樹木は枝を折られ皮をむかれ背後の山林は全滅し一望砂山と化す左方の社宅は火災中なり

北海道駒ヶ岳大爆発の惨状　大沼より鹿部々落に至る山峡にして電鉄路線は溶岩の為め埋没して見へず降灰と山火にて樹木は全滅し禿山と化す此所降石灰積む事七尺に達す噴火口より三里の地点なり

北海道駒ヶ岳大爆発之実況　渡島国駒ヶ岳は海抜一一四〇メートルにして噴火山なり昭和四年六月十七日午前零時頃より鳴動を起し同日午前十一時頃遂に一大鳴動と共に大爆発し溶岩吹出で降石灰猛烈を極め付近部落は殆と全滅の有様なり

北海道駒ヶ岳大爆発之光景　噴煙朦々天に冲する有様は物凄く溶岩流出し山火の為森林人家は全滅し避難民は右往左往して其惨状は筆紙に尽し難く被害の最も甚大なるは茅部郡鹿部村方面にして大沼電鉄線路は溶岩の為め埋没し其付近一帯は焼野原と化せりといふ