通説編第4巻 第6編 戦後の函館の歩み


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第2章 高度経済成長期の函館
第3節 函館の産業経済の変貌
5 高度経済成長期における函館工業界の実情

造船・北洋関連産業の不振

失業多発地帯という環境

海運市況の復興と造船ブーム

水産食品工業の伸展

臨海工業地帯の造成

公害問題と企業の対応

北洋関連企業の消長

転換期を迎えた工業界

函館を支える食料品製造業

落ち込む輸送機械工業

一般機械工業の動向

工業構造の転換による明暗

 

転換期を迎えた工業界    P458−P459

 昭和48年の「オイルショック」を引き金に、函館の製造業界は大きな転換期を迎えることとなった。図2−26(439頁→造船・北洋関連産業の不振)をみると昭和50年から63年までの製造業の出荷額は、対前年比がマイナスとなっている年が5か年あり、また産業全体に占める製造業の生産所得は、10パーセント内外となって、30年代からみると半減した。
 これをさらに業種別にみると、昭和53年以降の輸送用機械(造船)の急激な落ちこみと、47年からの繊維工業(漁網)の落ちこみが目立っている(図2−31参照)。これは30年代から40年代にわたって形成・展開された工業構造の3本柱のうちの2本が崩れだしたことを示すものであった。業種別出荷額の比率では、食料品製造業が53年以降、50パーセントを占めるようになり、その後も伸長傾向にあった(各年版『函館市統計書』)。。
 工業構造の柱は食料品製造業(飲料・飼料・たばこを含む)の1本が残ったということである。かつての大きな柱であった輸送用機械製造業に一般機械製造業を含めた出荷額比率は、50年の33.3パーセントが63年には9.8パーセントになり、従業者数では50年の5146人が63年には1858人へと大幅に減少した(同前)。
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