通説編第4巻 第6編 戦後の函館の歩み


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第1章 敗戦・占領、そして復興へ
第2節 地方自治の民主化と市政
1 第22回衆議院議員選挙と函館の対応

民主化に着手

衆議院議員選挙法の改正

政党の復活

婦人参政権問題

乱立する候補者

選挙結果と函館

衆議院議員選挙法の改正   P114−P116

 五大改革指令のうち、政治の分野における民主化政策は、政党・政治活動の自由化、選挙法の民主化によって選挙を通じて国民の意思が自由に表明された国会を作ることにあった。衆議院議員選挙法の改正が爼上に載せられていくことになった。幣原内閣は、10月13日、衆議院議員選挙法の改正を決定、まず選挙権の年齢を男女とも満20歳に引き下げることを決めた(昭和20年10月14日付け「道新」)。「北海道新聞」は「女子に選挙権付与」と大きく報じると同時に、選挙権年齢の引き下げだけを先決したことについて「これは明年一月行はるべき総選挙より直ちに実施する方針であり、選挙人名簿の作成など相当事前の準備を要するので、被選挙権資格年齢、選挙区の変更選挙運動取締法規の簡素化など一連の選挙法改正に関する諸件案と切離し年齢低下のみ閣議決定を急いだもの」と報じた(同前)。 
 その後、衆議院議員選挙法改正要綱として正式に決定された改正要綱のおもな内容は、選挙権年齢を20歳、被選挙権年齢を25歳に引き下げ、女性も同様とし、選挙区を都道府県単位の大選挙区制(議員定数15人以上の都道府県は2区に分つこと)を採用したことや、区の議員定数また選挙公報は議員候補ごとに別紙とせず一括印刷、議員候補者に対する有権者名簿の配布は取り止めたことなどであった(昭和20年10月24日付け「道新」)。さらに、「議員定数五人以下 記載制限数一人・議員定数六人〜十人 記載制限数二人・議員定数十一人〜十四人 記載制限数三人」の「制限連記投票制」の採用が決定された。
 なお「北海道新聞」は「かかる制限連記投票制度は世界各国にもあまりその例を見ない」とのコメントを付している。
 また議員定数は現行の定数を大体踏襲する方針のもとに人口15万5000人程度(各都道府県により若干の異動あり)につき議員1名の割合で算出し、結果議員総数は現行466名より2名増加して468名となった。北海道は2区制となり、総数で3名増加となった。北海道の議員定数配分は表1−11のとおりである。
表1−11 北海道選挙区の区分
区分
北海道第1区(定員15人)
札幌市 函館市 室蘭市 夕張市 岩見沢市  
支庁
石狩支庁 空知支庁 後志支庁 檜山支庁 渡島支庁 胆振支庁 日高支庁
区分
北海道第2区(定員9人)
旭川市 釧路市 帯広市 北見市  
支庁
上川支庁 十勝支庁 釧路支庁 根室支庁 網走支庁 宗谷支庁 留萌支庁
昭和20年10月31日・11月9日付け「道新」より作成
 衆議院議員選挙法の改正案は12月15日の衆議院本会議で団結権・団体交渉権を保障した労働組合法の制定に続いて可決された(17日公布)。18日、政府は、「ポツダム宣言の忠実な履行と、民主主義的傾向の復活強化のためには、まず政治機構の民主化を図ることが、最も緊要である。政府はこの趣旨に照らして、衆議院選挙法改正法律案を提出し、公布を見るに至つた。新選挙法に基き、国民の総意を反映する公正溌剌たる議会の、速やかな成立を希望して、衆議院の解散を奏請した。政府としては来るべき総選挙が苟くも選挙干渉の謗りをうけるやうなことは絶対にこれを戒め国民の意思がそのまま選挙の結果に現はれることを確信している」との声明を出し(昭和20年12月19日付け「朝日」)、衆議院は解散された。
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