通説編第4巻 第6編 戦後の函館の歩み


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第1章 敗戦・占領、そして復興へ
第1節 連合国軍の函館進駐
1 占領軍の函館進駐

敗戦直前の有識者の考え

8.15の回想と記憶

アメリカ軍の進駐を前に

進駐軍心得懇談会の開催

連合軍進駐への心構え

函館署の注意事項

アメリカ軍の進駐開始

「教務日誌」にみる状況

アメリカ軍の上陸と駐屯施設

北海道進駐のアメリカ軍兵力

占領行政の開始と土地・建物の接収件数

司令部が置かれた五島軒

将兵の宿舎・函館水産専門学校

「衛生」部隊が入った共愛会館

一時接収のゴルフ場

8件残して接収解除

進駐アメリカ軍のその後

一時接収のゴルフ場   P59−P61

 昭和21年『函館市事務報告書』には、アメリカ軍に一時的に接収され、返還された函館市所有の土地・建物に関する記載がある。まず「進駐軍に一時接収され返還となつた土地」として、(1)地蔵町9及び4番地所在空地(昭和21年11月30日接収、21年3月25日返還)、(2)見晴町57番地所在ゴルフ場(昭和21年1月11日接収、同年10月31日返還)の2か所が記されている。
  ゴルフ場に関しては、函館市「昭和二十一年度市有地関係綴」に次のような文書がある。

     土地賃貸料金収入の件
  一、金壱千八百弐拾五円
進駐軍接収に係る市内見晴町五七番地所在函館ゴルフ場に対する土地賃貸料として頭書金額の交付がありましたから左記科目に収入したい。
       記
  一、雑収入  雑入  雑入
  二、期間 自昭和二十一年一月十一日
        至  〃    年十月三十一日  一ヶ月百八拾八円の割

 これはゴルフ場を所有する函館市が、昭和21年度分賃貸料を11月5日に坂本森一市長名で終戦連絡函館地方事務局の堤清治郎局長に請求し、それに対して同局が納入した賃貸料の会計処理に関する文書である。アメリカ軍は、札幌市では中島公園やスキー場などを接収しており、このような娯楽施設の一環として、函館市でもゴルフ場を接収したのであろう。
 また、「進駐軍に一時接収され返還となつた建物」に、(1)汐見町6ノ2の青年会館(昭和20年10月18日接収、昭和21年4月19日返還)、A西川町3ノ1の市庁舎第1分館(昭和20年11月29日接収、昭和21年3月25日返還)がある。
 これらは、函館市の所有物件で、一時的に接収された後に解除されたものだけを示している。このほかにも、引き続きアメリカ軍の接収する物件が存在していた。そのひとつである元函館連隊区司令部の建物は、昭和23年10月1日付けで返還許可がおりている(『北海道連絡調整事務局半月報』昭和23年10月5日)。また、函館荷役事務所の接収解除は、翌24年2月21日付けであった(『北海道連絡調整事務局半月報』昭和24年3月1日)。
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