通説編第4巻 第6編 戦後の函館の歩み


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第1章 敗戦・占領、そして復興へ
第1節 連合国軍の函館進駐
1 占領軍の函館進駐

敗戦直前の有識者の考え

8.15の回想と記憶

アメリカ軍の進駐を前に

進駐軍心得懇談会の開催

連合軍進駐への心構え

函館署の注意事項

アメリカ軍の進駐開始

「教務日誌」にみる状況

アメリカ軍の上陸と駐屯施設

北海道進駐のアメリカ軍兵力

占領行政の開始と土地・建物の接収件数

司令部が置かれた五島軒

将兵の宿舎・函館水産専門学校

「衛生」部隊が入った共愛会館

一時接収のゴルフ場

8件残して接収解除

進駐アメリカ軍のその後

函館署の注意事項   P47−P49

 この懇談会を開催した後に函館署の佐藤署長は、アメリカ軍の進駐がいよいよ目前となった9月下旬、とくに交通事故の防止を訴える次のような注意事項を発表した( 昭和20年9月29日付け「道新」)。

一、道路上にある貯水槽、木材、土砂、塵芥等交通の障碍となるものは、三十日正午迄に一斉に取除くこと、
二、道路を通行する場合は、人道、車道の別を明らかにし、歩行者は必ず歩道を、自転車、馬車のやうな緩行車は車道の一番左側を、トラック、乗用車は中央の各左寄りを走行すること、
三、道路を横切る場合は、左右を見てから直角に横切り、斜に歩かぬこと、
四、自転車、自動車が角を曲る時は右大回り左小回りに曲ること、
五、小路のやうな所から道路上に急に飛出さぬこと、
六、道路や駅待合室、ホーム等に唾を吐かぬこと、
七、道路や人の見える所で立小便をしたり、幼児に屎尿させぬこと、
八、進駐軍の兵隊や外人を物珍らしさうに見物したり、ゾロゾロついて歩かぬこと、
九、外国兵から煙草その他の物品を買はぬこと

 一方、函館市の対応であるが、これを「北海道新聞」の記事から探ってみよう。9月1日、函館市役所は全市一斉の常会で、「連合軍の進駐方式」を示し、「当局を信頼して流言に動かされず平常業務に服すること」を市民に要望した(昭和20年8月30日付け)。続いて9月18日、市役所は占領軍兵士向け土産品即売協議会を開いた(9月19日、20日付け)。そして、町会・隣組を通じて各戸に出品を呼びかけ、29日に展示即売土産品が丸井・棒二デパートに搬入された(9月30日付け)。さらに、「街をきれいに明るくして進駐軍を迎へるため」、この29日から全市一斉に「隣組の勤労奉仕」による道路の清掃作業をおこなうことになった(同前)。また、9月15日、函館水上警察署が英語標示を掲示したことに加え(9月15日付け)、同18日、道庁が官公署などの名称の英語標示と連合国軍は左側通行であることを通牒したので(9月18日付け)、24日には函館駅などの駅名にローマ字併記がおこなわれた(9月26日付け)。17日からは、札幌鉄道管理局函館管理部で、職員に対する英語講習会が約2か月間開かれるようになった。そして、同27日、函館管理部のなかにアメリカ軍の上陸に対処するための渉外室が設置され、10月1日には、函館駅RTO(Railway Transportation Office)としてアメリカ軍下士官1名で業務を開始した。
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