通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


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第2章 20万都市への飛躍とその現実

第4節 戦間期の諸産業
1 函館の経済界

4 函館商工会議所の成立

函館商工会議所の設立

会議所定款の変更

函館商工会議所定款

函館商工会議所の活動

戦時下の商工会議所

会議所と連合組織

第8回道会議所連合会

道会議所臨時会

第8回道会議所連合会   P378−P380

 一方、北海道商工会議所連合会の会議は、昭和3年4月4、5日の両日、第8回北海道商工会議所連合会が函館商工会議所で開かれた。この連合会は、「北海道ニ於ケル各商工会議所議員竝事務員ヲ以テ組織」(「北海道商工会議所連合会々則」第2条)され、その目的は、「商工業竝事務上ニ関スル問題ヲ研究シ、其ノ改善統一ヲ図ル」(同第3条)点にあった。同会の前身は、商業会議所時代に結成された北海道商業会議所連合会であり、函館での開催は、同2年4月、小樽で開かれた第7回北海道商業会議所連合会において決議された。このことから明らかなように、函館の会議は、商工会議所と名称が変わって最初に開かれたものであった。
 さて、函館で開かれた第8回の会議は、第1日−本会議および講演、第2日−第1部委員会(産業税制関係)、第2部委員会(運輸交通機関)および本会議のスケジュールで開催され、1日目に委員会付託となった議案を、2日目の各委員会で審議した。参会者は、臨席官として北海道庁の内藤晴三郎産業部長、生田馨商工主事、渡辺男二郎属、参加者として函館市の佐藤孝三郎市長、弥吉茂樹助役、松井主事があり、各会議所の代表として、会頭、副会頭、常議員、議員など計49名が参加した(但し、内10名は欠席)。なお、この時の小樽商工会議所会頭は磯野進で、彼は出席している。
 次に議案をみると、まず道庁の諮問事項としては「道産愛用ヲ普及スルニ付執ルヘキ方策ヲ求ム」ことがあり、それ以外の具体的な議案は、19件にのぼっている。その中で、函館商工会議所の提出議案をみると、次の2件である。

議案第15号、香港ニ貿易調査所設置方建議ノ件
議案第16号 鉄道省函館青森無線電信所開設ニ関スル件

 前者は、「貿易ニ関スル調査斡旋ヲ為サシムル為地方費ヲ以テ香港ニ貿易調査所ヲ設置セラレンコトヲ望ム」というものである。道庁は、これより先上海に貿易調査所を開設しているが、香港も、上海に劣らず「南支ニ於ケル経済之中心」地であり、「近ク広東ノ大市場ヲ控ヘ遠ク海峡殖民地及南洋諸島ノ咽喉ヲ扼シ、貿易港トシテ本道生産品ノ集散上海ニ比スヘキモノアルニ拘ラス、未タ緊密ノ取引行ハレサル」ためである。そして、職員常駐の調査所を開設することにより、「生産品ノ集散配給ノ実際ヲ調査シ、常ニ当業者ノ指針トナリ」、ひいては北海道と香港との経済交流が活発化するから、という理由であった。
 また、後者は鉄道省の「函館青森間ノ両地無線電信所ヲ開放シ、公衆通信ヲ取扱ハレムコトヲ望ム」もので、これは、津軽海峡がいわゆる通信不通の「デッドスポット」にあたり、続発する海難事故を防止しようとの意図からであった。
 会議の中では、道庁の諮問事項に対して、(1)道産優良品の調査発表、(2)道産博覧会又は展覧会の開催、(3)道産品陳列館の開設、(4)道産試食会・講習会の開催、(5)道庁等官公署での道産品の使用、(6)道産品愛用週間の設置、(7)鉄道購買組合需要品の運賃割引の撤廃、(8)道産品振興功労者の表彰などを中心とする答申が決議され、4月9日付で沢田北海道庁長官に提出された。その他の提出議案も、それぞれ関係先に建議、陳情、提案を行い、2日間の会議は無事に終了した(『第八回北海道商工会議所連合会報告』昭和3年4月)。
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