通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


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第2章 20万都市への飛躍とその現実

第4節 戦間期の諸産業
1 函館の経済界

4 函館商工会議所の成立

函館商工会議所の設立

会議所定款の変更

函館商工会議所定款

函館商工会議所の活動

戦時下の商工会議所

会議所と連合組織

第8回道会議所連合会

道会議所臨時会

函館商工会議所定款   P370−P371

 いま、この昭和5年2月現在の函館商工会議所定款について取りあげてみよう。定款は全6章144条および付則から成っている。すなわち、第1章 総則(第1〜6条)、第2章 議員(第7〜23条)、第3章 役員及顧問(第24〜32条)、第4章 会議(第33〜54条)、第5章 事業(第55〜81条)、第6章 職制(第82〜104条)、付則、という構成である。
 まず、函館市の区域を基盤とする函館商工会議所は、函館市鶴岡町1番地に事務所を置いていた(第2、3条、なお、昭和14年4月1日、函館市と湯川町の合併により、同町が会議所の地区に編入された)。議員の定数は40名であったが、これは、商業会議所時代に較べて4名の増加である。そのうち、商工会議所法第12条第1号の議員、すなわち選挙によって選ばれる議員は32名、同条第2号の議員、つまり地区内の重要商工業種目から選ばれる議員は8名であった(第7条)。その種目とは、海産物問屋、海運業、倉庫業、米雑穀問屋業、鉄工業、菓子及砂糖問屋業、漁網及綿糸布製造販売業、製材業であり(第16条)、これら8業種の議員は、関連する同業組合の「選定シタル代表者」を充てることとした(第17条)。
 役員関係では、会頭1名、副会頭1名、常議員9名(第24条)と8名の顧問を置いた(第30条)。そして、議員総会、役員会(会頭、副会頭などで構成)の他に、会議所内に商業部、工業部、貿易部、交通部、理財部の5部を置き(第49条)、議員はいずれかの部に所属して調査と審議を行なった(第50条)。
 会議所の主な事業は、地区内商工業に関する各種の調査・報告(第55〜58条)、函館市内の商工業に関する紛議の調停(第59〜71条)と仲裁(第72〜81条)であった。
 以上が函館商工会議所定款の主な内容であるが、最後の付則では、この定款を改正しょうとする場合、「役員会三分ノ二以上ノ同意ヲ得タル議決又ハ議員三分ノ一以上ノ同意」がなければ、これを議員総会に提出することができないと規定されている。
 この部分までが、おそらくは昭和3年段階の定款全文であった。しかし、前述のように「執務上不便ノ点」を生じたために同5年2月、再度の定款変更を余儀なくされるが、それは、商工会議所法第12条第1号の議員選出に関する問題であった。そのことは、定款の第2章第2節「商工会議所法第十二条第一号ノ議員」選出に関する規定中、第12条が削除され、また、この件について議員の欠員が生じた場合には、「昭和四年十月七日以前ニ行ヒタル選挙ニ於テ商工会議所法第十二条第一号ノ議員ノ選挙ニ関スル規則第二十一条第一項但書ノ得票者ニシテ当選者トナラサリシ者アル場合ハ、旧定款第十二条第一項ノ規定ニ依リ直ニ選挙会ヲ開キ当選者ヲ定ム」との付則が追加されていることからも明らかであろう。
 なお、前記の規則とは、昭和2年12月28日付の商工省令第14号によるもので、第21条には、

 有効投票ノ最多数ヲ得タル者ヲ以テ当選者トス、但シ投票ニ記載スベキ被選挙人ノ数ヲ有効投票ノ総数ニ乗ジ、選挙スベキ議員ノ数ヲ以テ之ヲ除シテ得タル数ノ六分ノ一以上ノ得票アルコトヲ要ス、
 前項ノ規定ニ依リ当選者ヲ定ムルニ当リ、得票ノ数同ジキトキハ年長者ヲ取リ、年齢ニ依リ難キトキハ選挙長抽籤シテ之ヲ定ム

と記されている。
 この定款は、その後、昭和10(1935)年8月20日付で変更認可されているが、その主な改正点は、第97条の会議所による鑑定・證明等の実費徴収額を具体的に明示したことである。さらに昭和15年度には、第49条の部会設置について、「本市産業発展ノ基調ハ函館港ノ利用十全ニ帰因ス、函館市ノ生命ハ一ニ港湾機能高濃度ノ発揮ニアル」との理由から、同16年3月新たに港湾部を設けて全6部とし、あわせて会議所の事務機構強化のため、第82条の職員設置規定のなかで、従来の書記と雇員に加えて新たに主事を置いた(昭和15年度『函館商工会議所事業成績報告書)。
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