通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


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第1章 露両漁業基地の幕開け
第4節 明治末期函館の教育界
4 実業教育

井上文政と実業学校令

函館商業学校

独立後の商業学校

函館商船学校

実業補習学校

商業補習学校と工業補習学校

函館商業学校   P209−P210

 明治32年の「中学校令」の改正は、「尋常中学校ニハ農工商業ノ専修科ヲ附設スルコトヲ得ルノ規定アリト雖モ近来実業教育奨励ノ結果トシテ各地方ニ実業学校ノ設置ヲ見ルニ至リタレハ高等普通教育ヲ目的トスル中学校ニ於テ実業科ヲ附設スルモノ実際極メテ僅少ナルノミナラス亦其必要ナキニ至レリ」(「中学校令閣議請議書」『公文類衆』所収)というのが改正理由の1つとされていたので、函館尋常中学校の商業専修科も、廃止が予想されるものであったといえる。「中学校令」の改正に伴って、明治32年6月9日付文部省告示第81号によれば、「北海道函館中学校商業専修科ヲ廃止シ更ニ函館区元町ニ道庁立函館商業学校ヲ設置シ本年六月ヨリ開校ノ件認可」となり、同年6月18日付庁令第13号により、函館商業学校規則の制定をみることとなった。
 函館商業学校規則によれば、同校は、「内外商業ニ係ル必須ノ教育ヲ施シ実地商務ヲ経理スル者ヲ養成スル所」であって、「明治三十二年文部省令第十号第一条甲種商業学校ノ課程ニ依ル」こととされていた。同校の教科は予科および本科とされ、事宜により専攻科を設けることがあるとされている。予科は、本科に入る準備として必須の学科を教授し、本科は、商業に関する専門の学芸とその実地応用の方法とを教授すると定められている。修業年限は、予科2年、本科3年、専攻科1年であった。生徒定員は300名であった。
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