通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


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第1章 露両漁業基地の幕開け
第3節 露領漁業基地の展開
2 日露漁業協約の成立

漁業協約交渉

協約の内容

漁業関係者の陳情

協約の内容   P156

 成立した漁業協約の主な内容はつぎの通りである。(1)ロシア政府は、河川、入江を除く日本海、オコック海およびベーリング海のロシア沿岸で、ラッコ、オットセイ以外の水産動植物を捕獲、採取、製造する権利を日本国民に許与すること(第1条)、(2)日本国民は、水陸両面にわたる漁区において漁獲・製造に従事することができ、漁区の貸し下げは総て競売の方法で行い、日本国民とロシア国民との間に何等の区別を設けないこと(第2条)、(3)日本国民は、漁区の範囲内で、漁船、漁網の修繕を行い、漁獲物を製造、貯蔵すること、そのための施設を構築できること(第3条)、(4)日本国民は、漁業、漁獲物を製造する権利ならびに動産・不動産に課せられる公課については、ロシア国民と同等の扱いを受けること(第4条)、(5)ロシア政府は、日本に輸出される魚類および水産物には、課税しないこと(第5条)、(6)日本国民が魚類の漁獲、製造のために使用する漁夫の国籍について何等の制限を設けないこと(第6条)、(7)ロシア政府は、日本国民に対して、魚類の製造方法につき特別の制限を行わないこと(第7条)、(8)漁業権を取得した日本国民が、在日ロシア領事が発給した証明書と日本当局が発給した健康証明書をもつ船舶で、直接漁場と往復できること、かつ漁場間の人員の往来と物資の運搬ができること(第8条)、(9)日本国民およびロシア国民は、魚類水産物の保護とこれらに関する現行または将来の法令には均等の扱いを受けること(第9条)、(10)日本政府は、沿海州および 黒龍江州から輸入される水産物に対して輸入税を課さないこと(第12条)、(11)協約の期限は12か年、その後は両国の合意により更新または改正すること(第13条)。

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