通説編第3巻 第5編 「大函館」その光と影


「函館市史」トップ(総目次)

第1章 露両漁業基地の幕開け
第1節 区政の展開と政治潮流の実相
1 自治区制の進展と区長選任事情

自治区制の出発

函館区長の選挙

函館区役所移転問題

区内各紙連合の演説会

函館区民大会の決議

区役所の新築

林悦郎区長の辞任と政争の影

任期半ばで退任する区長たち

地元区長も途中退任

北守助役の区長就任

渋谷区長選任問題

党派の軋轢と区長問題

区役所の機構とその変遷

役所の吏員

区内各紙連合の演説会   P22−P23

 このような区会の結末に、区内各新聞社がこぞって反発し、区会閉会の翌12日夜宝町池田座で4社連合演説会が開かれた。当時函館には「函館日日新聞」「函館毎日新開」「北海新聞」「北海朝日新聞」の4紙があり、それまでは「各々付属する所あり提携する所あり、一問題起れば一社其攻撃に当り、一社其保護に任ずると言ふが如き奇観を呈し来りたる」(14日付「北海朝日新聞」)状態であったのが、この問題に対しては「宛も符節を合するが如く、四社四紙攻撃の歩調を整へ実に空前の光景を呈し来る、此一事以て如何に区長及び議員の大失態たるかを想像するに足る」(同前)と記され、これほどにまで連帯して各紙が行動したことはなかった。もっとも12日の演説会から区民大会開催に至る過程で「北海新聞」がこの連携から脱落している。最初の演説会および各紙の攻撃に対して区長も区会議員も対応策を取らなかったため、22日には第2回目の演説会が開催された。
 2回の演説会における演題および演説者は表1−4の通りで、主催者側の発表ではあるが、参会者について、第1回の演説会は1500人余、第2回目は「劇場寸分の余地を残さず空しく場外に佇立するもの中途にて止むを得ず帰宅するもの幾百千人なるを知らず実に前回に倍するの大景気」と報じられている(24日付「北海朝日新聞」)。
表1−4 区内各紙連合会演説会の演題および演説者
第1回演題
第2回演題
演説者
新聞社名
開会の主旨
根本的改革
函館区政論
八万区民を責るものは誰ぞ
林区長を放逐すべし
第20回函館区会




取って代るべし
愚者の標本を示す
区経営と事大主義
局面展開
一刀両断
嗚呼函館区
開会の趣旨
函館区民は果たして自治の能力なき乎
新旧思想の衝突
無題
大勢論
菅原精
田中鱗(鬼外)
斎藤哲郎
小橋栄太郎
川上嘉吉
広谷柾
福田夏畦
佐々木鉄之助
篠原文策
工藤忠平
藪重雄
函館日日新聞
北海朝日新聞
函館日日新聞
函館日日新聞
北海朝日新聞
北海新聞
北海朝日新聞
北海新聞
函館日日新聞
函館毎日新聞
函館日日新聞
明治34年12月14・24日付け「北海朝日新聞」より作成
注)同紙によれば第1回目の演説者はこの外にもいたが、報道されている氏名は上記のみである。
「函館市史」トップ(総目次) | 通説編第3巻第5編目次 | 前へ | 次へ